
人体解剖図の素描に始まる独特の描写力を持つ画家キキ・スミスは、近年は動物の作品を多く発表しています。ややもするとグロテスクな作風が多い中で、本作品はつぶらな瞳をした犬のような動物と、ピンクの花が愛らしいフェミニンな一枚です。一見すると控えめですが、なかなか凝った作りなのです。“ミクソグラフィア(R)“と呼ばれる珍しい技法を用い、彫刻した石膏の塊から銅版の型を取り、反転して刷り上げています。非常に美しく立体感のある仕上がりが特徴です。背景に広がるふんわりとした質感は石膏の風合いで、フレスコ画を彷彿とさせます。また、動物と花の上部4分の1は切り込みが入り、銀色のラメで縁取られています。さらに、手漉き紙の上には一面にちりばめられたラメとピンクの花、という繊細さ。幻想的で何ともいえない可愛らしさですが、黒い額縁がシックに引き締めて、“大人のスイート“を演出する作品です。
1954年、ドイツ、ニューレンブルグ生まれ
彫刻家の父トニー・スミスと女優で歌手のジェーン・スミスの間に生まれたキキ・スミスはニュー・ジャージーで育った。一時期パン屋になる修業をしたり、人形劇団の人形を作ったりといった仕事が後の作品制作にプラスとなった。22歳のときにニューヨークに移り以降活動の場所となる。1979年グレー著『人体解剖』(バスキアの愛読書でもあった)をもとに人体各部のドローイングを作る。人体に対する関心は深まり、85年にはブルックリン病院で緊急看護士の勉強をするほどだった。彼女の作品の主題が人体、それも理想美を追求するものではなく、生きている肉体の表現へ進んでいったのは当然だったかもしれない。素材は多様で、ブロンズ、ワックス、石膏、樹脂、布、紙など。1991年93年、ホイットニー・ビエンナーレ出品、93年ヴェニス・ビエンナーレに出品するなどジェンダー、身体性など時代のキー・ワードと合致する作品はますます評価が高まっている。
| 制作年 | 2003年 |
|---|---|
| エディション | ED 16/50 |
| サイン | あり |
| 技法 | ミクソグラフィア(R)/手漉き紙/グリッター |
| シートサイズ (縦×横) |
54.5x64.3cm |
| 作品の状態 | |
| 額仕様 | 黒/直貼り |
| 額寸 (縦×横×奥) |
61.8x71.4x4cm |
| お届け期間 | --- |
| 特記事項 | |
| 海外店頭価格 | 40000 ドル ( 更新) |
| A000-00474 |