
タイトルにあるBregenz(ブレゲンツ)は、オーストリアの小さな街の名で、ドイツ、スイスの国境にまたがり、ボーデン湖畔に面しています。この作品、湖上オペラで有名な美しい街の名を題していますが、どこで撮っても同じじゃない? と思わず問いかけてしまうような暗闇の風景が広がっています。背景は闇に包まれ、特定の場所は匿名性を帯びて何重にも意味が増幅され観る者を錯覚に陥れます。暗闇の中で裸の男性がボーデン湖に飛び込む一瞬が2枚組で表されています。リケットの写真の多くは、連続性が分断されたり、後景があとかたもなく消去されるので、しばしば見る者の位置感覚に混乱を引き起こします。ゆえに作品を見る側は、ケイト・ブッシュが言うような「どこにもあるようでいて、どこでもない場所」にいるような気持ちになるのです。日常の黒の風景を撮るリケットが初めて人間にフォーカスした新作の撮り下ろし作品です。リケットの表す闇は果てしなく深い闇ですが、そこに何かがあるような空間を醸し出します。美しい湖畔地方なのにあたりは真っ暗闇で何も見えません。完全な暗闇は人間に不安を想起させます。夢か現実か分からない、何かが潜んでいそうな夜の湖は彼自身の心を表しているのかもしれません。作品中の男性は、夜の暗闇に自己を映し出す湖面の中に何を見つけたのでしょうか。
1970年、イギリス、ロンドン生まれ。
ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートの写真科修士課程を卒業。ソフィ・リケットの写真モチーフは、夜の街灯に照らされて浮かぶ陸の孤島のような高速のインターチェンジや川沿いの遊歩道、月明かりの下に立つ首の無い記念碑など、普段私たちが気にとめない闇の1シーンを切り取っている。闇と光が織り成すシンプルな対比によって構成された光景は、均等な対比によるものではなく、圧倒的な暗闇の中から漏れる一筋の切れ目のようなわずかな光との対比である。大部分は闇の中に隠されていて、特定の場所が認識できない“どこでもあって、どこでもない場所”なのである。「私の作品は夜の闇を利用していますが、それは空白感を表すためではなく、可能性がつまった空間〜どんなことでも起こりえるであろう空間〜を表現するためなのです。」とリケット自身がのべる通り、彼女の果てしなく広がっている漆黒の領域は、見るものの空間感覚を奪い、惑わせ、予測できないもうひとつの現実の可能性を思い起こさせる。近年、ロンドンやヨーロッパ各地の主要なギャラリーをはじめ、ローマ、スイスの現代美術館で発表。2003年ncaにて日本初の新作による個展・及びグループ展「Identity」に出品し話題を集める。
| Man, Bregenz | |
| Man, Bregenz | |
| ソフィ・リケット | |
| Sophy Rickett |
| 制作年 | 2004年 |
|---|---|
| エディション |
ED XX/60 |
| サイン | あり |
| 技法 |
Cプリント |
| 作品本体サイズ(縦×横) |
23.8x30.3cm |
| 作品の状態 |
良好 |
| 額仕様 |
黒/マット |
| 額寸(縦×横×奥) |
34x40x3cm |
| お届け期間 | 約3週間 |
| 特記事項 | この作品は2点セットになります。※日本向けに制作されたスペシャル・エディションとなっております。 |
| 海外店頭価格 | no data (2007/11/01 更新) |
| 品番 | A000-00567 |
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