
子どもの頃、お茶漬けの付録に付いていた小さな浮世絵カードを見て、それが誰の何の絵かわからなくても「いい絵だなあ」と思っていたと言う奈良美智。この作品は、1999年、浮世絵版画を借景に見立てて描いたシリーズ《In the Floating World》からの一枚です。江戸時代の木版画を現代の日常的なメディアに置き換えてゼロックスコピーで表現しています。もとになった絵は、昇亭北寿(しょうていほくじゅ)が描いた「東海道富士河真写之図」。北寿は葛飾北斎の弟子で、江ノ島や品川などをモチーフに洋風風景画を発展させた一人。知名度は決して高くありませんが、空間を意識した構図、星と月などロマンティックな作風も見られるハイカラな北寿に目をつける辺りがさすがです。1999年といえば東海村の原発事故が起こった年。戦争の絶えない現在も「Love and Peace」とさりげなく描かれたメッセージが胸に響きます。
1959年12月5日、青森県弘前市生まれ
弘前の県立高校卒業後、武蔵野美術大学、愛知県立芸術大学及び大学院で絵画を学ぶ。
1988年ドイツに渡り、国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学、A.R.ペンクに師事する。その後ケルンに在住し創作活動を展開。2000年夏、帰国し活動拠点を日本に移す。ムカついた表情の女の子や犬のキャラクターが「カワイー」と呼ばれ、画集ばかりでなく、絵本、写真集、Tシャツ、ぬいぐるみなどのグッズが飛ぶように売れる最も忙しいアーティスト。フィギュア人気にあやかった村上隆の作品と並ぶと個性の違いが明らかだが、まるで60年代アメリカン・ポップ・アートが再来したかのようだ。
作品に登場する子供のイメージは、お絵かきや漫画を読みふけることで寂しさを紛らせていた鍵っ子の奈良の自画像とも言える。子供特有のはじける笑顔は見られず、コクトーのアンファン・テリブル(恐るべき子供たち)を思い出させる、残忍さを秘めた可愛らしさだ。
| 制作年 | 1999年 |
|---|---|
| エディション | ED 27/50 |
| サイン | あり |
| 技法 | カラー・ゼロックス |
| シートサイズ (縦×横) |
29.5x42cm |
| 作品の状態 | 良好 |
| 額仕様 | 白木 |
| 額寸 (縦×横×奥) |
41x52.5x2cm |
| お届け期間 | 約2週間 |
| 特記事項 | |
| 海外店頭価格 | 1300 ドル (2006/01/10 更新) |
| A000-00760 |