
32歳という若さで、あっという間にこの世を去ってしまったアメリカン・ポップ・アートの雄、キース・へリング。ストリート・スタイルの落書きとカラフルで派手な原色遣いとでニューヨークのアートシーンを駈けぬけたペインターの、このシルクスクリーンの作品「こうもり人間」を、じっくりと見ていると、まずはじめに、とてもよくデザインされていることに気づく。一定に保たれた最小限の線で構成された、具象だけれども抽象度の高いかたち。大胆な黒の太いストロークと赤と黄色の色面は、プリミティヴな壁画を連想させる。たった今、地面からかなりのスピードで飛び立ったばかりのように見えるこの奇妙な生き物は、いったいどんな空間をさまよっているのだろうか? ニューヨークの夜空を舞いながら、眼下にうごめくビルや車の灯りをどんな思いで俯瞰していたのだろうか? 寓意に満ちた題材と、鮮やかで単純な色彩。当時キースの作品は美術館や画廊からも注目を集めたが、Tシャツやバッジ、児童書の挿絵なども制作した彼の作品は、もしかしたら美術館やギャラリーなどてはなく、子供部屋にこそ、ぴったりなのかもしれない。
1958年5月4日、ペンシルヴァニア州カッツタウン生まれ、1990年2月16日没
20歳の時に引っ越したニューヨークで、バスキア、ケニー・シャーフたちと出会い、美大卒なのに地下鉄の広告板の黒い紙にチョークで落書き(サブウェイ・ドローイング)をはじめる。トニー・シャフラッツィのギャラリーでアシスタントの仕事につくが、すぐに取り扱い作家の一人となり82年に個展開催。1986年落書きをやめ、キャラクターを商品化してポップ・ショップを開店する。1989年エイズ感染を公表、エイズ知識を広めるためのキャンペーンにかかわり、キース・ヘリング財団を設立したが翌年亡くなった。彼のシンプルかつユニークなキャラクターは、直接には漫画から出てきたものだが、学生時代ロラン・バルトやウンベルト・エーコなどの構造主義の記号学を学び、ウイリアム・バロウズの詩を参考としつつ、言語的な記号による絵画表現を模索した結果なのである。 1997年ホイットニー美術館で大回顧展が開催され、1993年、東京の三越美術館で、2000年には伊勢丹美術館で回顧展開催。
| 制作年 | 1990年 |
|---|---|
| エディション | ED 18/250 |
| サイン | なし |
| 技法 | シルクスクリーン/インク/エンボス |
| シートサイズ (縦×横) |
53.3x63.5cm |
| 作品の状態 | 良好 |
| 額仕様 | イエロー/うかせ |
| 額寸 (縦×横×奥) |
63.5x73.6x3.2cm |
| お届け期間 | --- |
| 特記事項 | ※裏面にヘリング財団の承認スタンプ。 |
| 海外店頭価格 | 4000 ドル (2003/07/01 更新) |
| A000-00058 |