
四六時中なにかを創ってないと気が済まなかったエネルギーのかたまり、キース・ヘリング。この作品はごく初期の絵画シリーズ「笑顔」のプリント・バージョンです。アートにヒップホップ・サウンドにディスコ通いに恋にセックスにビジネスにと、最後にエイズで倒れるまで、とにかく人生の一分一秒をとことんまで楽しんだキース・ヘリング。1980年代初頭のニューヨークでは、彼やバスキアなど多くの無名アーティストが一夜明けるとビッグスターになっていた、そんな夢物語が現実となるとても熱い時代の幕が開いていました。大人気アーティストとなったキース・ヘリングは、自身のショップ「POP SHOP」をスタートさせ、赤ちゃん用グッズからハード・コアな大人向き作品まで、世界中に膨大な量のイメージ商品を流通させることに成功しています。それは従来のアート・ディーラー主体による作品供給システムに、アーティスト自身が風穴をあける試みでもあったのです。希望を失わない元気さがみなぎっている、そんなポジティブさこそキース・ヘリング作品の最大の魅力と言えるでしょう。
1958年5月4日、ペンシルヴァニア州カッツタウン生まれ、1990年2月16日没
20歳の時に引っ越したニューヨークで、バスキア、ケニー・シャーフたちと出会い、美大卒なのに地下鉄の広告板の黒い紙にチョークで落書き(サブウェイ・ドローイング)をはじめる。トニー・シャフラッツィのギャラリーでアシスタントの仕事につくが、すぐに取り扱い作家の一人となり82年に個展開催。1986年落書きをやめ、キャラクターを商品化してポップ・ショップを開店する。1989年エイズ感染を公表、エイズ知識を広めるためのキャンペーンにかかわり、キース・ヘリング財団を設立したが翌年亡くなった。彼のシンプルかつユニークなキャラクターは、直接には漫画から出てきたものだが、学生時代ロラン・バルトやウンベルト・エーコなどの構造主義の記号学を学び、ウイリアム・バロウズの詩を参考としつつ、言語的な記号による絵画表現を模索した結果なのである。 1997年ホイットニー美術館で大回顧展が開催され、1993年、東京の三越美術館で、2000年には伊勢丹美術館で回顧展開催。



