
上下に二分された画面、しかも上半分は黒一色、マーク・ロスコの最晩年のダーク・ペインティングが思い出されるかもしれない。ロスコの場合には人生にのしかかる重圧、不安としての黒だったが、タイマンスの画面の黒は感情的な意味とは無関係のようだ。放送の終わった明け方のテレビ、雨に濡れた舗道、淡い紫に息づくように柔らかな翡翠色、緩やかなリズム、落ち着き、一つの画面を言葉に置き換えていくと詩が生まれてくる。詩人ランボーのヴォワヤン(見者)のクールな眼差しがある。静寂を求める人のための最良の作品。
1958年、ベルギー、モートセル生まれ
ベルギーで地道な制作活動をしていたタイマンスだが、1992年、カッセルのドクメンタ(4,5年ごとに開催される国際現代美術展)で大きく注目され、欧米を中心に数多くの展覧会に出品するようになり、各地のビエンナーレの常連アーティストとなった。 80年代初め、絵を離れて映画を作っていた時期に、習得したカメラワーク、クローズアップやモンタージュなどがその後の絵画制作に反映している。無表情な顔、ひと気のない部屋、無機質で孤独な雰囲気のはずが、透明感、癒しといったプラスの効果をもたらす不思議な絵画である。戦争やホロコーストといった重苦しいテーマを扱っても、感情表現を排して淡々とイメージを描く、それでかえって真の表現が可能となる。タイマンス自身が言うように、アンソール、マグリットと独特のベルギー絵画を生み出した後継者なのだ。不安な今の時代に最も相応しいアートに違いない。
| 制作年 | 1996年 |
|---|---|
| エディション | ED 4/10 |
| サイン | あり |
| 技法 | エッチング |
| シートサイズ (縦×横) |
80x60.5cm |
| 作品の状態 | 良好 |
| 額仕様 | 白/マット |
| 額寸 (縦×横×奥) |
85x65x4cm |
| お届け期間 | --- |
| 特記事項 | |
| 海外店頭価格 | 3125 ドル (2003/07/01 更新) |
| A000-00131 |