
バチェラーは紙切れのコレクター、子供の落書き、捨てられたメモ、外国のレシート、手紙、フランス語やスペイン語はおろかヘブライ語のものまで、目に留まって失敬してもかまわないものはもらってくる。中華料理屋で最後に出てくるフォーチュン・クッキー、日本で言うおみくじだが「遠方より慶事来る」なんてものまでとってある。それら材料をコラージュして、その上にこれもどこかで見つけた花の絵をなぞって描く。これが彼の基本的な制作方法だ。同じようにして原画を作り拡大して版画にしたのがこの「無題」。コラージュの質感がよく出ているのと、メモ用紙あるいはノートの罫線もそれらしく再現され、コーヒーかコーラの入っていたらしいコップの跡もいかにもといった感じ。あまり意味はなさそうだが、知っている外国語の文字には目が行くだろう。とはいえ全体は簡略化された花の絵、かける場所は選ばない。モダンな中にちょっとカジュアルな雰囲気がほしいときにはぴったり。
1956年、コネチカット州、ハートフォード生まれ
ボルチモアの美大卒業後、ニューヨークに出てクーパー・ユニオンで学んだバチェラーの作品は、子供が描いた下手くそな絵としか見えない。それもそのはず実際に子供の絵を模写し、そのスケッチをもとに制作されるのだ。ほかにもトイレの落書き、精神病患者の絵、古いコミック、中華料理店の紙ナプキンなど、自分では描けそうもない面白い形や、想像もつかないイメージを見つけてきては、スケッチして集めておく。制作はコレクションしたスケッチの中から、慎重にいくつかを選び出して構成することから始まる。一見無雑作に描かれたかに思われる画面は、実は念入りなイメージの選定作業とその配置に十分な時間がかけられているのだ。たまたま出会った人に、何か絵を描いてもらい、それを材料とすることもある。素朴なコミュニケーションとシンプルなものの持つ美、そしてさまざまな組み合わせ。彼の作品が評論家たちからトゥオンブリ、ライマン、そしてラウシェンバーグやシュヴィッタースと比較され賞賛される理由はそこにある。
| 無題 | |
| Untitled | |
| ドナルド・バチェラー | |
| Donald Baechler |
| 制作年 | 1993年 |
|---|---|
| エディション |
ED 9/250 |
| サイン | あり |
| 技法 |
シルクスクリーン |
| 作品本体サイズ(縦×横) |
94x69cm |
| 作品の状態 |
良好 |
| 額仕様 |
木地/うかせ |
| 額寸(縦×横×奥) |
103.1x78.4x4.1cm |
| お届け期間 | 約2週間 |
| 特記事項 | |
| 海外店頭価格 | 1400ドル (2007/11/01 更新) |
| 品番 | A000-00141 |
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