
ピストルやナイフといったオブジェに、オオゴマダラという蝶の金色に輝くと言われているさなぎを、さりげなく付着させている。黄金に輝く蝶の蛹のぬけがらは、タイトルから「夜明け」(Dawn)と共に空へと飛び立ったであろう美しい蝶を想起させる。
同時にこの夜明けでは、鑑賞者の主体的参加、つまり想像力を働かせる、というモンタージュが求められている。つまり、何が現実社会における夜明け足りえるのか、というアーティストの問いが内包されている。
この蛹の有機的な形は、見るものにその美しさと繊細さ故、暴力を連想させる人工的オブジェに触れることをためらわせる。自然のもたらす有機的美しさ、という力の下で、人工的な力を寄せ付けない、自然の美の強度が保たれている。そう、そこからが、私たちの夜明け足りうるのである。(渡辺真也)
1973年、沖縄県生まれ。
1996年、多摩美術大学油絵科卒業。2001年、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツ修士課程修了後、ニューヨーク、ブルックリンを拠点に活動を続けている。照屋は、日常生活に存在するオブジェを微細にずらすことにより、通常のものと異なる世界を生み出す。
2002年、照屋は沖縄の伝統工芸である紅型を使用し、現代美術としての着物作品「You-I,You-I(結い、結い)」を製作した。この色鮮やかな着物、良く見ると沖縄の海をジュゴンと米軍のヘリコプターが、空を戦闘機やパラシュート兵、さらに菊の花や色鮮やかな鳥が舞っている。沖縄の伝統工芸の織物(結い)と、(YouとI)の如くに密接となっている米軍基地との日常を連鎖させて描き出した彼は、この作品にてVOCA奨励賞、さらにオルドリッチ現代美術館新人作家賞を受賞する。
彼の代表作である「Notice - Forest(告知 -森)」では、マクドナルド等のファーストフードや、ティファニー等の高級ブランドの紙袋の表面に切り込みを入れ、袋の内側に木を生み出す、という作品である。これはアリストテレスの自然哲学から着想したもので、「木から生産されている紙袋の表面には、まだ木の精神が宿っているのではないか」と考え、彼の手によってその紙袋に宿る木の精神を再生させることで、静かに森林破壊、さらには消費社会への警鐘を鳴らした作品である。この作品はニューヨークの P.S.1とMoMAが合同で企画した新人発掘展「Greater New York」に選出され、その後32歳の若さで、この作品はグッゲンハイム美術館のパーマネント・コレクションに選ばれた。
2005年には「横浜トリエンナーレ」で注目を集め、2006年春には「第12回バングラディシュ・ビエンナーレ」に日本代表として出展し、その後アジアン・パシフィック・トリエンナーレ、日豪展など、海外での国際展でも活躍、2006年夏にはアサヒ・アート・フェスティバルにて「照屋勇賢?水に浮かぶ島」展、2007年にはアジア・ソサエティーにて個展を開催、さらに横浜美術館の「水の情景?モネ、大観から現代まで」展には、沖縄の死んだ珊瑚のインスタレーションを出品し話題となる。今、世界から最も注目され、多忙をきわめるアーティストのひとりである。(渡辺真也)
| 制作年 | 2008年 |
|---|---|
| エディション | 10 |
| サイン | あり |
| 技法 | クロモジェニックCプリント |
| シートサイズ (縦×横) |
50.8x40.6cm |
| 作品の状態 | 良好 |
| 額仕様 | アッシュ白木/直貼 |
| 額寸 (縦×横×奥) |
56.8x46.6x0cm |
| お届け期間 | 約2週間 |
| 特記事項 | |
| 海外店頭価格 | (2010/01/01 更新) |
| C000-02847 |